Kindle Paperwhiteを購入したところ、Kindle Unlimitedが無料だったため、レコメンドされた『ダンジョン飯』1巻を読み、見事にはまって全14巻を読了した。アニメ化もされているようだが未見なので、ここでは漫画について。
最初はタイトルの通り、迷宮を冒険するパーティが食うに困って魔物を料理して食べる物語。ドラクエのようなファンタジーの世界観で、戦士やエルフの魔法使い、ドワーフらのパーティが登場する。通常の飲食事情は現実と変わらないようだが、魔物を食べるというのは一種のゲテモノ食い的な設定らしい。迷宮の階層を深く進むごとに現れる様々な魔物を、いろいろな調理法でおいしく食していく。この魔物たちの生物学的な背景と、それゆえにどう調理すると美味しくなるかという設計が緻密で、架空の食材なのに説得力があり実に旨そうだ。
また蘇生の魔法が存在するため、ときに死が軽く扱われる。この死の扱い方が「食は生の特権」というテーマとうまく絡んでいる。死んでも遺体が残っていれば蘇生できるが、何かに食べられてしまい誰かの栄養になってしまうと、もう蘇生はできない。物語は徐々に、悪食グルメリポート的な雰囲気から、食物連鎖や転生、さらには「食は生の根源的な欲求」というテーマへと昇華していく。シリアスな場面も出てくるが、各キャラクターの性格も含めどこか抜けた明るさがあり、ユーモアが絶えない。その雰囲気が物語に重さと軽さバランスを与えている。また、終盤に時折挟まれる見開きスケールの画は、まるで宗教画のような神々しさがあり、作者の画力や生物への興味・好奇心も感じられた。
総じて、ファンタジーからグルメ蘊蓄、ギャグ、シリアス、人種間の諍い、欲望まで、食を中心に様々な要素が盛り込まれている。それはまるで、あらゆる味蕾を刺激するフルコース料理のようで、大変おいしゅうございました。
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